ヨーロッパバックパッカー(パリ②)
クリメ駅到着
目的地であるクリメ駅付近に来ると、運転手は周りを見渡しながら一緒にその駅を探してくれた。
あったぞ!
と指差してもらった方向には確かにcrimeeとmetroの文字が!
ついに目的地に到着した。
拙いフランス語に何度も耳を傾けてくれたことに感謝。
初めてチップを渡す
感謝の気持ちは形で示すのが欧米文化。
チップだ。チップを渡すんだ。
私は日本にいる時に、オシャレなチップの渡し方を学んでいた。
ただ小銭をあげるだけだと物乞いにお金を投げるのと変わらないように見えてしまう。
そこで、ちょっと多めに金額を払いつつ、おしゃれフランスワード
「ガルデラモネ(釣りはいらねえ)」
これがおしゃれパリジャンのスタンダードである。
タクシー料金を見ると40ユーロ。
ユーロでの支払いも初めてで、お札の種類も把握していない状況で、チップも考慮して料金を支払う。
難題すぎる。
とりあえず財布の中に見えた50ユーロ札を手渡す。
ろくに計算もしていない状況で、あのおしゃれワードを放つ。
「・・・ガルデラモネ」
運転手の目が見開いた。
フランスのタクシーって暴漢対策なのか、前の座席と後ろの座席の間に透明な板がビッシリと打ち付けられているのだが、今でもしっかり覚えているが、そのわずかな隙間から無理矢理手をグッと出してきて握手を求められた。
握力もかなり強かった。
後々気づいたが、私はチップとして彼に10ユーロを差し上げたことになる。
当時のレートで1500円。
ちなみに普通のチップの相場は1〜2ユーロ。
約10倍のチップを払ったのである。
バブル時代に世界から嫌われていた日本人のやり方そのものである。
握手を求められる訳だ。
そんなことに気付かず、お金で買った国際交流に満足した私はタクシーを降りて、最初の宿「白い門」の案内人を待ち合わせ場所で待った。
ちなみにこの辺りは黒人と中華、韓国系の移民街であり、夜はとてつもなく雰囲気が悪い。
駅のそばにはフランスのスーパーマーケットチェーン店「モノプリ」があり、多少明るいものの、一本通りを間違えればスラム街のような雰囲気が漂っている。
案内人には日本で予めメールで「モノプリの前でニット帽かぶって待っている」とだけ伝えている。
目的地に到着したことで大満足していたが、そもそもそんな曖昧な約束で来てくれるのだろうか。
一気に不安が押し寄せてくる。