ヨーロッパバックパッカー(ウィーン→ケルン②)
3ユーロで寝台列車に乗車
ウィーンからケルンへ向かう際に、またしても夜行列車を使うべきかどうか悩んだ。
ユーレイルパスを使っているのに、夜行列車の寝台料金へ30ユーロ程度をかけるのが勿体無いからだ。
ウィーンの駅に行き、列車予約の案内を見てみると、あることに気づいた。
寝台列車の席予約の図の中に、ベッドの絵が付いたものと、付いていないものがある。
もしかして…
と思い窓口で、ベッドが付いていない方を指差して、こちらを予約したいと伝えてみた。
すると、請求された料金はたった3ユーロだった。
やはり!
寝台料金、つまりベッド付きの部屋を予約するかどうかはこちらが決めることができるのだ。
旅も後半戦に差し掛かり、金銭的にも厳しくなっていた私にとっては衝撃的な発見だった。
ただ不安がない訳でもない。
絵の通りに解釈すると、ベッドがないのでずっと席に座ってろということなのか。
12時間も。
周りに誰もいなかったら、地べたに這いつくばってでも眠る自信はあるのだが、いまいち勝手が分からない。
不安を抱えながら、寝台列車に乗った。
寝台席も座席もそんなに変わらない
ドキドキしながら列車に乗ると、日本の鉄道にもよくあるような、向かい合うボックスタイプの席だった。
4人分横並びになっている席が向かい合っているので、1ボックス8人定員で構成されている。
私のボックスには8人定員のうち4人が座り、お互いが正面にならないように気を使い合いながら座り、列車はケルンに向けて出発した。
夜も更けてきて、さぁリクライニングを倒して寝ようかなと考えていると、隣の黒人男性も同じようにリクライニングシートを倒そうとしていた。
ただボタンを押して倒すのではなく、立ち上がって両手を使って踏ん張り出したので、何をやっているのだと気になってマジマジと見ていた。
次の瞬間、座っていた席は太ももが当たる部分がすっと前に伸びてきて、席自体が完全にフラットになった。
黒人男性は慣れた手つきで向かいの空席も同じように伸ばした結果、2つの向かい合う席は完全にくっつき、長い一つのベッドに早変わりした。
何て素晴らしい仕組みだ。
完全に横になって寝られるなら、もう寝台席なんていらないじゃないか。
今まで毎回30ユーロ程度払ってきた寝台料に今更ながら後悔し始める。
いざ自分の席もやろうとしてみたものの非常に難しい。
困っていると、先ほどの黒人男性が手取り足取り教えてくれた。
お前もお金がないからこっちに来てるんだろ。
それなら席の傾け方ぐらいは覚えとかなきゃな。
次回からはお前一人でやるんだぞ。
と言わんばかりにとても丁寧に教えてくれた。
他の2名もそうだそうだと温かい目で見守りながら同意している。
寝台席を選ばなかった貧乏人同士で、そこには謎の一体感が生まれていた。
駅を出ると目の前にケルン大聖堂
早朝に列車はケルンに到着した。
何よりも空腹を解消したい私は、駅構内にあった小さなウインナー屋さんに駆け込んだ。
さすがドイツ。
他の国ではマックやコンビニがあるべきところにウインナー屋さんがある。
ドイツで初めて食べたウインナーの味は格別なものだった。
そして嬉しい発見がもう一つあった。
ウィーンと比べて、案内標識などのドイツ語の下に、英語の併記が多いのである。
さすが先進国。これはとても助かる。
ウイーンで言葉の壁を感じて多少つまらない気持ちになっていたが、再び旅への意欲が燃えてくる。
さぁ宿を探してからゆっくりケルン大聖堂へ向かおうか。
そう考えながら駅を出た次の瞬間。
本当に駅の「目の前」にケルン大聖堂。
近いことは分かっていたが、ここまで駅と歴史的建造物が近いことなんてあるのか。
いきなりすぎて言葉が出ないほど感動した。
しばらくその場に立ったまま圧倒された。
近くに寄ってみると、5ユーロで大聖堂の頂上まで登れるとの案内が書いてあった。
まずは宿を探して荷物を置いてから改めてじっくり大聖堂を堪能しようと考え、はやる気持ちを抑えながら宿探しへと出発した。