ヨーロッパバックパッカー(エクサンプロバンス②)
プチ留学気分
友人の寮に行ってみると、同じ日本人の友達2人がおり、3人が仲良しグループらしい。
そして全員フランス人の彼氏を既に作っていた。
ネイティヴの恋人を作るのが語学上達の一番の近道とよく言われるが、なんとも逞しいなと感心すると同時に、学費を捻出している親の気持ちを想像すると、多少複雑な気持ちになった。
夕食は出会いを祝して寮の友人6〜7人がご飯を作ってパーティを開催してくれた。
昔からずっと留学に対する憧れがあった私にとって、正に夢見ていた光景だ。
フランス語はあんまり聞き取れなかったけど、国際色に富んだ雰囲気の中で美味しいお酒を飲めたことは素晴らしい思い出になった。
パーティが終わり、家主も彼氏の家に泊まってくれたおかげで、リスボン以来の個室宿となった。
夜行バスのトラブルもあり、昨晩はほとんど寝れていないことを思い出した途端、強烈な睡魔と疲労感に襲われた。
思えばパリからスタートした旅も半月を超えて、色々と動きっぱなしだったなぁとしみじみ振り返る。
明日は完全にオフにしてみようか。
これも無料宿を確保しているところからくる余裕である。
決めた。
明日は靴すら履かないオフにしよう。
ひたすら足を休めて、旅の後半に向けて鋭気を養う1日にしよう。
休んで英気を養う
泥のように眠った翌朝、本当に夕方過ぎまで靴も履かずに、ただ部屋にこもって暇を潰していた。
夕飯時になった頃、家主である友人から何をしているかと電話が入った。
只々オフを満喫しており、明日旅立つ英気を養っていますと伝えると、エクサンプロバンスの街を見ないで旅立つなんて有り得ないと叱られた。
私のエクサンプロバンスを紹介するから今すぐ出てこいとのこと。
はた迷惑な話だなぁとげんなりしながら街へ出て合流し、自慢の街を紹介してもらった。
私の予想を遥かに上回り、クリスマスのイルミネーションで装飾された街はとてもきらびやかで、夜の街はとても明るく活気付いていた。
メリーゴーランドまで街のど真ん中に一時的に設置されており、キリスト文化にとってのクリスマスの重要度が、日本のそれとは比にならないことを実感した。
その後友達の彼氏の家に行き、酒を飲みながらダーツ大会を楽しんだ。
日本代表として挑んだダーツ大会だったが、圧倒的に完敗して、日本の格を下げることになった。
寮に帰ると、昨日パーティをしてくれたフランス人の男共3人が、明日私が出発するという事を知っていたらしくサプライズで夕飯を作ってくれていた。
とても嬉しかったのは、料理に味噌や醤油を使って和風に仕上げてくれたことだ。
出会って数日しか経っていないのに、なんだかみんな本当に優しい。
約束を果たす
翌朝、友人へ想像以上に快適だった滞在に心からのお礼を伝えて、私はエクサンプロバンスを出発した。
別れ際、私は友人にどうしても言わなければならないことがあると前置きして、最後に言葉を残した。
「幹線道路の角に小さな寿司屋さんがある。そこに女友達2人連れて近いうちに必ず行くように。美味しいから。」
結局私は寿司屋のおじさんとの約束を守った。