ヨーロッパバックパッカー(マルセイユ→エクサンプロバンス)
ストライキはなおも続く
新しい運転手に代わり、無事マルセイユに着いた時には朝9時を超えていた。
なんだかんだ寝たり起きたりを繰り返したため、寝不足感が否めない。
およそ15時間バスに乗っていたことになる。
身体も バキバキだ。
マルセイユ駅は驚くほど綺麗で、ストライキで人が全然いないことが、駅の綺麗さに拍車をかけていた。
駅の構内はどこを見ても「greve(ストライキ)」の文字がある。
インフォメーションデスクにいた偉そうな男性に駄目元でいつストライキが終わるのか尋ねたが、両手を広げて首をすくめるだけ。
労働者がストライキ中なのだから、もしかしたらこの男性は経営層のお偉方なのかも知れない。
そんな人にとってストライキがいつ終わるのかなんて、私が教えて欲しいよといった気分だったのかも知れない。
学園都市「エクサンプロバンス」
マルセイユの隣町には「エクサンプロバンス」という学園都市がある。
学生が多く、日本からフランスへ留学すると言ったら、パリの次くらいにここが挙げられる。
私の友人もちょうどこのエクサンプロバンスに留学中であったため、先に連絡を取ったところ、寮を宿代わりに使っていいとのことだった。
節約チャンスとばかりに、私はマルセイユ駅からエクサンプロバンスへ向かった。
バスで。
寿司屋の粋な計らい
友人との約束の時間よりも2〜3時間早くエクサンプロバンスに到着したため、徒歩でぶらぶら街を歩いてみた。
車通りの多い幹線道路の角に、床面積が四畳半程度のとても小さなお寿司屋さんが建っていた。
久しぶりに見た日本語に誘われるがままに店内に入ると、寿司一貫からお持ち帰りOKというテイクアウト専用の店だった。
店主はもちろん日本人。
下町から来た様なべらんめえ口調のそのおっさんは、お前はここで何をやってるのだ!から始まり、様々な質問を浴びせてきた。
一通り回答し終えたところで、今度は私から本題をぶつけた。
「今話した通り貧乏旅行なんだ。安く寿司を食べさせてください。」
べらんめえおじさんは当然断る。
お前に値切られる道理は無いと。
それでも負けじとこっちも食いさがる。
うだうだ粘ること10分。
最後には、これから落ち合う友達(女)をべらんめえおじさんに必ず紹介するという約束で、寿司3貫を1貫分の値段で提供してくれた。
ありがとうべらんめえスケベおじさん。
女友達を紹介する気は全然無いけど。
しばらくおじさんと雑談を交わした後、待ち合わせの場所に戻り、友達と合流することができた。
私はちょうど駅のコンセントを使って携帯電話の充電をしようとしていたところを目撃されて爆笑された。
この国では本当に逮捕されるとの忠告も受けて反省した。
何はともあれ、無事無料宿の確保に成功した。