ヨーロッパバックパッカー(ポルトガル④)
ユーラシア大陸最西端「ロカ岬」
朝、広場からロカ岬へ向かうと信じたバスに乗った。
バスに乗ったのは10人程度。
幸いにもインフォメーションセンターのお姉ちゃんとのコミュニケーションはしっかり取れていたらしく、目的地であるロカ岬へすんなりと到着した。
ロカ岬から見た大西洋は、何てことない普通の海なのだが、ここから大航海時代に数多の船乗りが新大陸を目指して出発したのかと考えると、これまた歴史のロマンをぐっと感じる。
またここがユーラシア大陸最西端だということを考えると、これまたぐっとくる。
私はやはり直感に訴えてくるものよりは、その背景や理屈を理解してそこに感動を見出すタイプらしい。
旅人との出会い
ロカ岬で大航海時代の船乗りたちに想いを寄せていると、ふとあるアジア人が目に入った。
同い年位の男性なのだが、私以上に、いや私とは比較にならないくらい 感極まっている。
日本人であることを願い日本語で声を掛けてみると、やはり彼は日本人だった。
彼の名は山田くん。
中国の東端から陸路のみで旅を続けて、今日ついにユーラシア大陸最西端に到達して旅のフィナーレを迎えたのだ。
感動的な場面に立ち会うことができ、共に喜びを分かち合い、幸せな気分をお裾分けしていただいた。
これまでのお互いの旅路を話しているうちに仲良くなり、夜一緒に飲みに行こうという話になった。
久々に夕食が一人飯じゃない。
普段一人行動が全く苦にならない私でも、長旅を一人で過ごしていたら誰かとご飯を食べたくなるものである。
喜びを隠しながら、とりあえずやることをやろうと最西端証明書発行センターへ山田くんと一緒に入った。
センター内には厳格そうなおじさんが鳥の羽がついた高級感漂う万年筆を持って待っている。
証明書に私達の名前を書いてくれるからだ。
よくよく話を聞くと、証明書には豪華な10ユーロのものと、簡単な賞状のみの5ユーロの2タイプがあった。
若干迷ったが、貧乏旅行であることを再確認し、泣く泣く私は5ユーロを選択した。
10ユーロタイプのものはフィナーレを迎えて感動に浸っている山田くんが選ぶだろうから見せてもらおう。
まず私が5ユーロタイプのものを貰い、次に山田くんの番。
山田くんは迷わず言った。
「5ユーロタイプでお願いします」
即答だった。
中国の東から数ヶ月かけてこの証明書をもらうことをゴールに掲げてきた男が即答である。
旅は人間を強く逞しくすることを実感した。
今夜の飲み会は盛り上がりそうだ。
久々の二人飯
フランスのバイユー以来の二人飯。
調子に乗ってビールもたくさん頼んでしまった。
山田くんの旅エピソードも面白い。
中国は全然楽しくなかったことや、東欧の美女率は凄いなど、同年代の男二人ならではの話を楽しんだ。
お店を出て街の広場に行ってみると、またあのマリファナ売りのおじさんが声をかけてきた。
面白いのは、山田くんもおじさんと既に友達だったことだ。
マリファナ売りのおじさんも私が思ったのと同じように、お前達も友達だったのかと私達を見ていた。
郷土料理を食し、ロカ岬へ行き、旅人とも出会い、リスボンの滞在に既に達成感を感じていた。
さぁ、次の場所を目指すかな。