優良な介護付き有料老人ホームの見分け方
介護付き有料老人ホームの中でも介護保険サービスかどうか分かれる
介護付き有料老人ホームは、有料老人ホーム自身が介護サービスも提供する有料老人ホームです。
有料老人ホームの中でも、介護度が重くなった入居者に対しても対応が可能です。
そもそも有料老人ホームというのは、厳密に言うと介護保険サービスではありません。
市町村へ申請をして、「指定」を受けてサービスを実施できる介護保険サービスに対して、有料老人ホームは「届出制」です。
つまり、こういう基準を満たさないと事業所として指定しませんよと拒否できるのが介護保険サービス。
一方で、勝手に始めて届出を行うだけでいいのが有料老人ホームなのです。
もちろん有料老人ホームにも最低限これくらいは守ってねという指針が厚生労働省から出されておりますが、あくまでも指針ですので法的拘束力はありません。
この指針を守らずに届出も出さない例が多く発生しており、昨今メデイアに取り上げられている「見届け有料老人ホーム」問題になっているのです。
話が横道に逸れましたが、この届出制の有料老人ホームの中でも一定の設備、人員の条件を満たすことで介護保険サービスの指定を受けることができる仕組みがあります。
介護保険サービスとしての指定を受けることができれば、利用者の介護サービス利用料のうち9割が市町村から公費として補われますので、利用者負担はかなり軽減されます。
ちなみにこのサービスは「特定施設入居者生活介護」という名称になっています。
ご家族の有料老人ホームを探す際には、この「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている有料老人ホームかどうか調べることをお勧めします。
市町村のホームページでも特定施設入居者生活介護事業所の一覧などを公開していることが多いので、参考にしてみるのも良いかもしれません。
特定施設ではなくても優良な有料老人ホームはある
特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかが施設が優良であるという1つの指標になりますが、最近では特定施設入居者生活介護の指定を積極的に行っていない市町村も増えてきているため、一概に特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかだけで判断するのは難しいかもしれません。
その場合の見分け方として、そもそも特定施設入居者生活介護の人員基準を抑えておけば、指定を受けていないだけで、実質的には指定を受けることができる同等のサービスを提供しているのだと確認できるはずです。
特定施設入居者生活介護の人員基準
全て記載すると膨大な量になりますので、その中でも優良な有料老人ホームかどうかの判断基準となるものをご紹介します。
介護職員
入居者数に対して常勤換算数で3:1の配置が必要です。
と、言ってもピンとこないと思いますので、1つ例を挙げます。
常勤時間というのは施設によって異なりますが、大半が労基法に合わせて1日8時間としています。
介護職員の常勤換算数1というのはこの8時間を意味します。
仮に入居者数30名の有料老人ホームの場合、3:1にするためには常勤換算数10の介護職員の配置が必要です。
これは時間数に直すと80時間です。
つまり、1日に介護職員全員で80時間の勤務があれば基準をクリアするということです。
8時間働く人を10人揃えれば単純にクリアしますし、半分の時間しか働かない非常勤職員を倍の人数そろえても基準はクリアします。
これくらいの介護職員の人数を揃えている有料老人ホームであれば、例え特定施設入居者生活介護の指定を受けていなくても、十分にそれに値する介護サービスを提供できているはずです。